近年、オフィスに仮眠室や睡眠がとれるリフレッシュスペースを設ける企業が目立っています。
先鋭的な企業がオフィスに仮眠室を設置しているのを目にしたことがあるのではないでしょうか?
そこで今回は、仮眠室は本当に必要とされているのか、オフィスワーカーの本音を調査しました。
<アンケート概要>
対象:オフィスで働く20~50代の男女。回答数510名 実施時期:2016年12月
仮眠室導入を検討する目的は「業務効率アップ」

20代から50代のオフィスワーカー510人にアンケート調査を行なったところ、「仮眠室はあった方がよい」が51%、「仮眠室はない方がよい」が49%と、「あった方がよい」が僅差で上回る結果となりました。
「あった方がよい」と答えた理由は、「眠くて仕方がないときがある」(40代 女性)、「仮眠したほうが仕事の効率がよくなりそうだから」(20代 女性)、などの業務効率のために設置を求める意見、「作業で泊まりが発生することがあるため」(40代 男性)などの深夜作業に備えたいという意見が挙げられました。
仮眠室はない方がよい理由には、「仮眠が必要なほどの残業はないので」(40代 男性)、「外出で(ストレスが)解消するから」(50代 男性)というそもそも必要ない、という意見に加え、「仮眠室があると残業有りきで仕事をしてしまい、効率が悪くなりそう」(40代 女性)や、「泊まりこみが当たり前になりそう」(30代 女性)と、残業の助長を危惧する声が目立ちました。
仮眠室導入に反対する女性が気になるのは衛生面
男女別の意見では、「あった方がよい」が男性は56%、女性は45%と、仮眠室を求める声は男性のほうが若干多いものの、いずれもほぼ半々という結果になりました。
【男性】

【女性】

そんななか、男女の違いが大きく分かれたのが、「衛生面」への関心。
「ない方がよい」と答えた理由のなかで、「清潔とは限らない」(30代 女性)、「清掃が大変」(40代 女性)、「シーツなどの管理が大変そうだから」(50代 女性)と、衛生面の問題から仮眠室は不要と答える女性の声が複数ありました。
仮眠室の導入を検討している場合は、衛生面のケアをしっかり打ち出さないと、女性社員からの賛同は得られにくいのかもしれません。
残業時間が3時間を超えると仮眠室の需要が高まる

残業時間との相関をみてみると、いずれもほぼ半数が「あった方がよい」と答えているものの、残業時間が増えるほど仮眠室の需要は高まっています。
なかでも、1日の平均残業時間が3時間を超える人たちのうち、約6割が「仮眠室はあった方がよい」と回答していることがわかりました。
その理由としては、「ホテルに移動するのは面倒」(40代 男性)、「安心して残業ができるので」(30代 男性)、「机で仮眠をとると首や肩が痛くなってしまうので」(20代 女性)などの理由があげられました。
長時間の残業や深夜作業に取り組む場合、作業効率を上げるためにはリフレッシュも必要のようです。
昼寝で使いたいという声も
一方、残業時間が1時間未満の人たちの47%が「仮眠室はあったほうがよい」と回答。
理由として「10分の昼寝でも疲れがとれそうだから」(50代 男性)、「30分程度の昼寝は脳の効率を高めると考えているので」(30代 男性)、「絶対に昼寝したほうが午後の仕事がはかどるから」(30代 女性)など、短時間の昼寝でリフレッシュし、仕事の能率をアップさせたいという意見が見られました。
実は、平成26年に厚生労働省が発表した『健康づくりのための睡眠指針』で「午後の早い時刻に30分以内の短い昼寝をすることが、眠気による作業能率の改善に効果的です」と昼寝を推奨しています。
出典:健康づくりのための睡眠指針2014 (厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000047221.pdf
残業時間に関わらず、仮眠室を設置するのも作業能率アップに効果的のようです。
今回の調査で、残業時間に関わらず、約半数のオフィスワーカーが、仮眠室が必要と考えており、「作業能率アップ」を意識していることがわかりました。
一方で、残業時間の増加を懸念する声もあるので、導入を検討している担当者は、予め利用方法・利用規則、また、清掃などの管理方法などをしっかり定める必要があるようです。