勤務する企業があるオフィスビルは、高層階、低層階それぞれにメリット、デメリットはあるとは思いますが、オフィスワーカーはどう感じているのでしょうか?
今回は、「勤務するオフィスビルは、低層階と高層階のどちらが良いですか?」というアンケートを実施し、働く人たちの本音を調査しました。
<アンケート概要>
対象:20~50代の男女。回答数:800名 実施時期:2016年12月
4割近くが「ビルの低層階」が良いと回答

今回、20代から50代までの男女800人にアンケートを実施した結果、「どちらでもよい」と回答をした人は全体の50%、「低層階」と回答した人が38%、「高層階」と回答した人が12%と、低層階が高層階を大幅に上回りました。
「高層階」を支持した人たちの意見では、「景色がよい」(50代 女性)、「景色が良くて気分転換になる」(40代 女性)と景観に関するものが最も多く、次に「ステータスが高いから」(50代 男性)、「仕事ができそうな雰囲気だから」(20代 男性)という回答も散見されました。
もともと都市部などではビルを高層化することで、景観の良さもさることながら、さまざまな物事を集中させることで合理化できるというメリットがあります。
一方、「低層階」を支持した人たちは「災害時に避難しやすそう」(30代 男性)、「震災を想定」(50代 男性)といったような回答が非常に多く見受けられました。
この結果を考慮すると、実に約4割近くの人たちは、「災害」に対する意識が高いということが伺えます。
年齢が上がるほど「低階層」を支持する傾向にある

さらに「低層階」を支持した人たちを年代別にみていくと、20代が31%「低層階」を支持したのに対して、30代で41%、40代で39%、50代で41%となり、「エレベーターを使わなくて楽」(50代 男性)という意見や、「(地震のとき)揺れが少ない」(40代 男性)といったメリットをあげる人がいました。
一方、「高層階」を支持した人は、20代で14%ともっとも高く、30代、40代はどちらも12%、50代では11%と、年齢が上がるほど下がる傾向にありました。
このことから、年齢が高くなるほど「低層階」を支持するとともに、「防災」に対する意識も高くなる傾向があるようです。
2011年に発生した東日本大震災を20代よりも上の世代の多くが就業時間に経験したことも、この世代が低層階を指示する理由のひとつなのかもしれません。
男性より女性のほうが「低階層」を支持
【男性】

【女性】

また、今回の調査結果を男女別にみてみると、男性の35%が「低層階」を支持しており、女性では41%が「低層階」を支持していました。
特に「地震や火災のときに対処しやすい」(30代 女性)や「何かあったときにすぐに逃げられる」(20代 女性)といった意見が目立ち、男性よりも女性のほうが慎重な意見が多く見受けられました。
「高層階」のデメリットとしては、内閣府『防災情報ページ』によると、大きな地震の際はビルの高さによって状況が異なるそうで、「海溝型地震の場合、高層ビルの揺れはゆっくりと強く、数分以上続きます」ということだそうです。
※出典:内閣府ホームページ『防災情報のページ』
http://www.bousai.go.jp/kohou/kouhoubousai/h20/01/special_02.html
これを背景に、現在は多くのオフィスワーカーが「低層階」を支持しているのかもしれません。
毎日のように通勤し、大部分の時間を過ごすオフィスですから、そこから見える景観や合理的な便利さは魅力のひとつです。ただ、防災意識が高まる現在では、多くのオフィスワーカーが、普段から万が一のことを考える傾向にあり、今回のアンケートの結果で、それが顕著に表れていました。