2018/08/16コラム
AIは世界最高峰のチェス棋士や囲碁棋士などを破っている。医療や空港の監視カメラにも、既にAIが使われている。AIのすごさは、コンピュータが自分で学習して賢くなることだ。それは深層学習(ディープラーニング)といい、膨大な数のデータや情報を読み込んで法則性を見つけ出し、予測し、自分(AI)なりの正解を出す。チェスAIも囲碁AIもディープラーニング型である。従来のコンピュータとは、全く異なる。
発展目覚ましいAIは、やがて人間の脳や能力を超えると言われている。この状態をシンギュラリティ(技術的特異点)というが、AIをその状態に到達させるには、無数のデータや情報を与える必要がある。無数のデータと情報を集めるには、IoTがうってつけなのだ。
すべてのモノをネットにつなげば、モノに装着したカメラやセンサーがデータと情報を集め、ネットでAIに送ることができる。すでにスマートウォッチのようなリストバンドタイプや、メガネタイプのウェアラブル端末が開発されている。これらはネットにつながり、体温や心拍数、周囲の環境情報などを収集し、利用者に必要な情報やサービスを提案している。エアコンや冷蔵庫などの家電のIoT化も進んでいる。これらはクラウド上に蓄積されたデータから、節電や温度調整など、さまざまな利用調整を行ってくれる。さらにAIによる複雑な判断ができるようになれば、個々のシチュエーションに合わせた対応の幅が広がる。生活の質は向上し、衣料のようなウェアラブル端末で利用者の健康診断をしたり、命を守ることもできるのだ。
IoT委員会は進化したAIが人の代役になることも想定している。例えば民事裁判の調停案をAIが出すという構想だ。過去の判例をすべてデータ化して、全国の裁判所のAIがネットでそのデータにアクセスできればAI調停は実現できそうだ。株価や為替の予想は何十年もの経験を持つトレーダーやアナリストが行っても外れることは珍しくないが、すでにこの分野にもAIが使われている。IoTを拡充して、集める情報量とデータ量を増やせば、AI株価予想はさらに精度を高めるだろう。
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