2018/06/25コラム
ESG企業が注目されたのは、国連事務総長だったアナン氏が2006年に、機関投資家に向かってESG投資を呼びかけたことがきっかけとされる。アナン氏は機関投資家に、投資する会社や事業に対する責任を求めたのである*。そしてそのわずか2年後の2008年にリーマン・ショックが起き、短期的な利益追求のための投資に批判と反省が沸き起こった。企業がESGに取り組むことは、慈善事業などではなく、正当なビジネスとして投資を受けるための重要なポイントになったのである。
日本政府もESGには注目していて、例えば環境省はEの環境(Environment)にアプローチすべく2017年にESG金融懇談会を開催した。日本は世界5位のCO2排出国なので、環境省としても環境への取り組みに注力している企業に期待するところが大きいのである。
ESGへの取り組みが企業のビジネスを後押しする原動力となっていく。環境面での取り組みについて考えてみよう。
地球温暖化の抑止策として再生可能エネルギーが注目されれば、風力発電や地熱発電、太陽光発電に関連する企業が潤うのは当然である。
多くの企業が、屋上での太陽光発電などの環境対策に取り組めば、仕事が増え、業績の伸びと共に企業価値が高まる。
発電には送電が伴うので、発電方法が大きく変われば送電技術も革新が迫られて製造業、IT企業、IoT企業の仕事が増える。
電気を効率的に使えることができればEV(電気自動車)が普及し、EVとの親和性が高い自動運転車も進化するので、自動車メーカー、蓄電池企業も業績を伸ばす。
スマートハウス*が普及すれば、住宅メーカーや家電メーカーが活躍できる。
このように、環境に積極的にコミットする企業は、「市場からの直接的な利益」が得られる。
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