2018/05/15コラム
もう一つの対策が、働く世代の将来の年金を確保する策だ。主に以下の2つの方法からなる。
・年金支給額の改定ルールを見直す
・年金積立金を運用して年金財源を確保する策
年金支給額は、マクロ経済の動向によってスライド(改定)することになっている。働く世代の賃金が減り、物価も下がれば年金支給額は増やさないルールなのだが、厚生労働省自身、「こうした考え方が徹底されていなかった」と述べている。
そこで政府は2021年4月から、働く世代の賃金が低下したら年金支給額を上げにくくするルールを導入することにした。年金支給額が上がらないことは年金を受け取る高齢者には痛手だが、厚労省は「将来世代の年金給付水準を高い水準で安定させる」ために必要な措置であると説明している。
働く世代から徴収した年金保険料は、全額が年金支給に回っているわけではなく、一部は年金積立金として積み立てられている。その年金積立金は、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が運用して増やしている。GPIFの運用資産額は162兆6,723億円(2017年)に達し、世界最大級の機関投資家である。
政府はGPIFによる年金積立金の運用を拡充することを決めた。具体的にはリスク管理の方法を多様化させ、新たな運用方法を追加することにしたのである。
GPIFの運用資産別の構成割合では、相応のリスクがある国内株式が26.05%、外国株式も25.08%となっている(2017年)。しかもGPIFの基本ポートフォリオでは、国内株式は最大34%まで、外国株式も最大33%まで増やすことができることになっている。
GPIFの運用は比較的順調といえ、2001年から2017年までの累積収益額は68兆9,822億円にのぼっている。
※これらを盛り込んだのが、2017年8月に施行された「公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律」
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