2018/07/09コラム
経済産業省は、経済発展と脱炭素経済の両立には、エネルギーを獲得する手段を多く持つ政策、つまりエネルギーミックスが必要であると提唱している。東日本大震災の前年に当たる2010年の日本の電源構成は2016年までに大きく変化している。言うまでもないが、火力発電の割合が増えたということは、脱炭素経済からは逆行する。そこで政府は、2030年の電源構成の目標を定めている。火力の構成比率を、2010年の65%から9ポイントも減らそうとしているのである。さらに2030年の再生可能エネルギー22~24%の内訳は地熱、バイオマス、風力、太陽光、水力と多様化しており、脱炭素経済を見据え、発電手段を多数持つことによって火力発電への依存度を減らす政策といえるだろう。
電源構成における火力発電の比率を減らしても、全体のエネルギー需要が増えてしまえば、日本が排出する温室効果ガスの量は増えてしまう。そのため、企業も国民も省エネに取り組まなければならないのは言うまでもない。
経済産業省は国の経済活動を産業部門、業務部門、運輸部門、家庭部門の4部門に分け、それぞれの部門で省エネに取り組む戦略だ。そのためにはまったく新しい省エネ技術の開発が欠かせない。企業はそのような画期的な技術を生み出せば、世界の先頭に立って脱炭素への取り組みをけん引できるとともに、世界中にその技術や製品、サービスを販売することで大きな利益を得ることができる。脱炭素経済への取り組みは、大きなビジネスチャンスでもある。
【参考文献】
・環境省「長期大幅削減・脱炭素化に向けた基本的考え方」
・経済産業省「長期エネルギー需給見通し」
・資源エネルギー庁「今さら聞けないパリ協定」
・資源エネルギー庁「2030年エネルギーミックス必達のための対策~省エネ、再エネ等~」
・気象庁「温室効果ガスの種類」
・気象庁「気候変動」
・中央環境審議会地球環境部会「環境省長期低炭素ビジョン」平成29年3月
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