EV(電気自動車)はここまで進んだ! エネルギー・環境問題の解決で増す存在感 – ページ 4 – 最新記事一覧

2018/05/28コラム

EV(電気自動車)はここまで進んだ!
エネルギー・環境問題の解決で増す存在感

EVを「家庭の電池」にする発想


EVが電気を溜めて走ることができるのは、EVに電気を溜める装置「蓄電池」が搭載されているからだ。家庭で使う電池の容量はあまり大きくないが、EVの蓄電池は従来の家庭用の電池とは比較にならない容量がある。


日産リーフは1回の充電で400㎞走行できるほどの容量だ。このEVの蓄電池に着目し、一般住宅で夜間電力をEVに溜めておき、昼間にEVから住宅に電気を供給するシステムが考案されている。発電所の発電コストは昼間より夜のほうが断然低いので、夜につくった電気をEVに貯蔵しておけば経済性が高まる。もちろん非常時の電源としても有効だ。これがEVの走行以外の使い道となる。


現状のEV普及率1%未満では大したインパクトはないが、ゼロエミッション電源の普及やEVに関する課題が解決さればEV普及率が高まり、「ディマンドリスポンス」に貢献できるかもしれない。


ディマンドリスポンスとは経済産業省が提唱している、「消費者が電力使用量を賢く制御することで電力の需給バランスをとる取り組み」である。電気は石油と違って溜めることが難しいので消費者の賢い使い方が省エネに欠かせないのだ。



EV普及の課題


EVの普及には、ゼロエミッション電源の拡大以外にも課題がある。それは充電ステーションの増設である。
EV用の充電器には急速充電器と普通充電器の2種類がある。普通充電器は設備にかかるコストが安く、2万基以上設置されているものの、急速充電器に比べて充電にかかる時間は10倍以上で、たとえ1時間充電しても10キロ程度の走行距離しか望めない。
業務用を含め、広くEVを普及させるには急速充電器の増設が必須だが、2017年1月現在、急速充電器を設置した施設「充電ステーション」は全国で6,935カ所(7,204基)しかない。これらの現状に対してガソリンスタンド(給油所)は約3万5千カ所もある。
経済産業省によると、国内6,935カ所という数字は、日本各地に均等に配置したと仮定して、道路26.5㎞ごとに1カ所というレベルである。


急速充電器は充電ステーションだけでなく、家庭用にも整備する必要がある。充電には40分ほどかかるので、自宅の駐車場に置いているときに充電しておくことが合理的だからだ。
例えばマンションに急速充電器を設置することはEV普及のカギを握るが、EVの利用者が少ないマンションが多く、住人の合意形成は簡単ではないだろう。そこで経済産業省では、そもそも急速充電器つきのマンションを開発しようと、自動車メーカー、ハウスメーカー、マンション開発者、管理組合、自動車販売店などと研究会を立ち上げている。


EVが今後の自動車の主流となることは間違いない。しかし、関連インフラの整備は、まだまだ時間とコストがかかる。今後の普及には官民一体となった取り組みが必要である。



参考文献

・資源エネルギー庁「電気自動車(EV)は次世代のエネルギー構造を変える?!」
・経済産業省製造産業局自動車課「平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備委託費(EV・PHVの充電インフラに関する調査)調査報告書」
・経済産業省製造産業局自動車課「電気自動車・プラグインハイブリッド自動車の充電インフラ整備事業費補助金について(2017年6月)」
・独立行政法人経済産業研究所「自動車産業の未来 部品網の構造変化に備え」
・日産自動車「100%電気自動車、新型日産リーフ誕生。充電・航続距離」
・資源エネルギー庁「エネルギーミックスの選択肢提示に向けた今後の作業の進め方について」
・国立環境研究所「アメリカ、1800ヶ所超の電気自動車用充電スタンドが再投資法により完成」
・経済産業省「ディマンドリスポンス:賢い電力使用で、報酬を」
・全国石油協会「都道府県別給油所数の推移」






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