【オフィスエリア:品川・五反田】五反田駅周辺の再開発 生まれ変わるスタートアップの聖地 – 最新記事一覧

2021/09/01再開発レポート

品川オフィス~五反田駅周辺の再開発
生まれ変わるスタートアップの聖地

大規模オフィスビル・ホテル・住宅棟の建設で都市再生


東京の品川区はリニア中央新幹線始発駅となる品川駅や2020年3月に開業した高輪ゲートウェイ駅周辺の話題がよく取り上げられるが、渋谷・本郷とともにスタートアップ企業の聖地とも呼ばれる「五反田」の街が注目されている。同エリアは目黒川という環境資源を有する区内随一のオフィスや商業施設が集積する業務地として知られており、さらなる賑わいと街の活性化に取り組む五反田駅周辺の再開発に迫ってみたい。

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IT企業やベンチャー企業が集まる「五反田バレー」


東京都品川区の五反田駅周辺エリアでは大規模な再開発事業が進められている五反田駅はJR山手線の品川駅から渋谷方面に向かって二駅目、目黒駅からは一駅目と都内で代表的な主要駅からも近い。
そして、JR線のほかに都営地下鉄浅草線と東急池上線が乗り入れており、交通の要衝となる駅でもある。同駅周辺エリアはアメリカのシリコンバレーにならって「五反田バレー」と呼ばれており、IT企業やベンチャー企業、スタートアップ企業の一大集積地となっている。
2018年、freee株式会社、株式会社マツリカ、株式会社ココナラ、セーフィー株式会社、株式会社トレタ、株式会社よりそうの6社はベンチャー企業やスタートアップ企業が社会課題を解決し、より豊かな未来を創っていくことを目指して一般社団法人五反田バレーを立ち上げた。同エリアは区内外から大きな注目を集めているエリアになっている。品川区でもスタートアップ企業の集積地としての五反田バレーの認知度アップや地域活力の向上、区内産業全体の活性化を図るため、起業家の事業成長を支援するさまざまなプログラムを実施しているところである。



半世紀以上の歴史を持つTOCビルは建て替え予定


五反田のランドマークといえば、株式会社テーオーシー(TOC)が管理運営する都内でも最大級の複合商業施設「TOC(東京卸売センター)ビル」が有名である。
JR線・都営地下鉄線の五反田駅から徒歩8分、東急池上線の大崎広小路駅から徒歩5分、東急目黒線の不動前駅からは徒歩6分の好立地に位置する。五反田駅からは無料シャトルバスも出ており、ビジネスマンだけではなく家族連れにも親しまれている。
ハローキティのキャラクターグッズで知られる株式会社サンリオは1973年~1987年にかけて本社や店舗を同ビルに構えていたが、現在は同区大崎に移転している。ユニクロで有名な株式会社ファーストリテイリング会長兼社長の柳井正氏が同社の前身となる小郡商事株式会社時代に山口県から商品を仕入れるために訪れていたことで知られており、現在は店舗も入る。
TOCビルは地下3階地上13階建てのビルで、屋上に庭園とゴルフ練習場、地下には食堂街もある。もともとは星製薬株式会社の工場跡地に建設された卸売専門の施設であるため、その頃のビル名称を残したままである。同ビルは「小売り向け専門の建物ではない」というところであり、卸売とオフィスと小売りが同じフロアに軒を並べるのが特徴である。街を歩く感覚で思わぬ店と出会えるのが、TOCビルの楽しみの一つとされている。現在は大きく分けて地下1~5階までは小売りを兼ねた店舗、6階以上は卸売業者やオフィスが多く入っており、小売りや卸売を含めて300以上の店舗が連なる。
TOCの2021年3月期決算短信によると、1970年の竣工から半世紀以上が経つTOCビルは建て替えを予定しているが、建物規模や施工のスケジュール等は同段階では決まっていない。


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TOCビル / TOCビルの案内板 / 無料シャトルバス


1フロア1,000坪のオフィスが誕生する「五反田計画(仮称)」


TOCビルと並んで五反田で多くの人々に親しまれていたのが、ホテルや結婚式場、フィットネスジムなど日本郵政株式会社の複合施設「ゆうぽうとホール」である。 五反田駅から徒歩5分、東急池上線の五反田駅から一駅目の大崎広小路駅から降りてすぐ傍に位置する同ホールは1982年に開館し、2015年に閉館した。現在同社の子会社である日本郵政不動産株式会社が同ホール跡地において自社開発の第一号案件として「五反田計画(仮称)」という名称で建て替え工事を行っている。地上21階建て・高さ約100メートル・延床面積約6万9,000平方メートル規模の高層複合ビルが建設される。低層階に商業施設、多目的ホール、シェアオフィス、中層階に1フロア1,000坪の整形無柱のオフィス、高層階に富士山や東京タワーが一望できるホテルが入る計画である。2021年8月上旬に着工し、2023年12月末に竣工予定であり、五反田の核となる新たな活動拠点として期待されている。


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「五反田計画(仮称)」の外観イメージ / 概要図 / ゆうぽうとホール跡地


2022年3月にオフィス棟が竣工する「メグロマーク」


JR線沿いに五反田駅から徒歩8分、目黒駅と中間に位置する西五反田3丁目地区で東日本鉄道株式会社・株式会社ジェイアール東日本ビルディング・株式会社ジェイアール東日本都市開発・野村不動産株式会社のグループは再開発事業を進めている。 同グループは2021年3月に同地区の「(仮称)西五反田3丁目プロジェクト」の街区名称を「MEGURO MARC(メグロマーク)」と発表した。「MARC」とは「MEGURO AROUND CITY」の略称で、「自然な私に還るまち」をコンセプトに一人ひとりの自分らしさの出発点(MARK)として、周り(AROUND)と丸く(MARC)つながる街を創るという意味である。同4月にはジェイアール東日本ビルディングがメグロマークに誕生するオフィス棟の名称を「JR目黒MARCビル(ジェイアールメグロマークビル)」と決定している。
同事業では13階建て・高さ約70メートル・延床面積約3万8,720平方メートルのオフィス棟、24階建て・高さ約86メートル・延床面積約1万8,570平方メートルの賃貸住宅棟、32階建て・高さ約127メートル・延床面積約3万6,710平方メートルの分譲住宅棟の3棟からなる複合型の街づくりが計画されており、各棟に囲まれた中央エリアには緑豊かな広場を設けて多様な交流を促進する。賃貸住宅棟には保育施設を整備して子育て世代が暮らしやすい街を実現するほか、分譲住宅棟の共用部には地域の人々も利用可能なシェアスペースを設けて生活や仕事に新しい風土とコミュニティをつくる。竣工時期はオフィス棟が2022年3月、賃貸住宅棟は2022年10月、分譲住宅棟は2023年11月の予定である。


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「メグロマーク」の外観イメージ / 工事が進むJR目黒MARCビル


東急不動産が参加予定者の「東五反田二丁目第3地区」


五反田駅から御殿山を経て新八ツ山橋交差点にかけての通りは現ソニーグループ株式会社の旧本社や旧工場が集積していたことから「ソニー通り」と呼ばれ、今も同社関連施設が残るエリアである。
同駅からソニー通りと目黒川を挟んで再開発事業が進む「東五反田二丁目第3地区」では同地区市街地再開発準備組合の参加予定者として東急不動産株式会社が2021年2月に選定されている。同地区は五反田駅と大崎駅の中間に位置し、段階的な開発によって公園等のオープンスペースや道路整備が行われてきた。南側は目黒川に面しており、周辺には小中一貫教育を行う全国初の施設一体型の公立学校である区立日野学園や区立総合体育館、区立図書館等の公共機関、市街地再開発事業で整備されたパークタワーグランスカイやオーバルコート大崎等の高層ビルが立地する。
計画ではA地区(業務棟)に 地上20階建て・高さ約110メートル・延床面積約7万平方メートルに事務所や店舗、B地区(住宅棟)には地上40階建て・高さ約150メートル・延床面積約4万1,000平方メートルに住宅や保育所、C地区は公園が計画されている。


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「東五反田二丁目第3地区」の南側立面図 / 東五反田二丁目第3地区の位置図


地上19階建ての大規模オフィスビルを建設する住友不動産


東五反田二丁目第3地区に隣接するソニー通り沿いの「(仮称)北品川5丁目計画」では、住友不動産株式会社が旧ソニー本社ビルの跡地で「(仮称)住友不動産大崎東プロジェクト」を進めている。
同プロジェクトは2019年12月に着工、2022年3月に竣工を予定しており、地上19階建て・延床面積約4万7,509平方メートル・総貸付面積約3万1,285平方メートルの大規模オフィスビルが建設される。同エリアは駅前より街区単位で開発整備が進められており、空地や緑地が計画的に整備されていることから敷地内に豊富な緑地や広場を設け、周辺との連続的な緑のネットワークを構築する。五反田駅から徒歩9分、大崎駅からは8分という立地条件に加え、品川駅や高輪ゲートウェイ駅周辺の発展期待もあり、オフィスニーズの高まりを見せている。同社では2018年に同エリアで延床面積17万平方メートルの大崎ガーデンタワーを竣工しており、こうしたニーズに対応しているところである。


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「(仮称)住友不動産大崎東プロジェクト」の外観イメージ / 左側が大崎東プロジェクトで建設中のビル


新たなスターを誕生させる街へ


五反田駅周辺は鉄道や道路網の優れた交通アクセスにも恵まれて商業施設やオフィスを中心に発展してきた。2010年代以降はIT企業やベンチャー企業が集積し、スタートアップの聖地として「五反田バレー」と呼ばれているが、それ以前も多くの起業家を生み育ててきた街でもある。今、同駅周辺は川や緑の豊かな環境資源を活かした最先端のオフィスビルや住宅などの大規模再開発が取り組まれており、これからもこの街は新たなスターを誕生させてくれることであろう。




【参考文献】

  • 品川区「五反田バレーアクセラレーションプログラム」
  • 品川区「東五反田二丁目第3地区における都市計画の決定ならびに変更」
  • しながわ観光協会「五反田TOCビルの魅力を満喫しよう!」
  • 日本郵政不動産株式会社「五反田計画(仮称)の開発計画について~日本郵政不動産自社開発の第一号案件が始動します~」
  • 野村不動産株式会社「(仮称)西五反田3丁目プロジェクトの街区名称『MEGURO MARC』に決定~住まいと働く場所が共存した多様性のあるまちが誕生します~」
  • 東急不動産株式会社「~大崎・五反田エリア活性化の一翼を担う街づくり~『東五反田二丁目第3地区第一種市街地再開発事業』参加組合員予定者協定書の締結について」
  • 月刊不動産流通研究所「大崎で大規模オフィスビルを着工/住友不」

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