コロナ収束後の働き方 ハイブリッドワークの定着化 – 最新記事一覧

2021/09/01働き方改革レポート

コロナ収束後の働き方
ハイブリッドワークの定着化

低感染リスク型ビジネス枠の各種補助金の活用

2020年末頃から世界的に新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が始まった。日本でも2021年2月の医療従事者に始まり、高齢者から若い世代へと対象を順次拡大している。また、テレワークが普及するなど働き方や生活スタイルも大きく変わりつつあり、欧米企業ではコロナ収束後の働き方として「ハイブリッドワーク」が注目されている。こうした新しい働き方と関連した現況や国等の支援について紹介する。


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アメリカにおけるコロナ収束後の働き方


アメリカ疾病対策センター(CDC)は5月末、同国25州とワシントンDCで成人居住者の半数以上が2回目の新型コロナウイルス感染症のワクチン接種を終えたと発表した。
その一方で同時期に調査会社のフォレスター・リサーチが新たに発表したレポートでは、ワクチン接種率が世界的に上昇しても、欧米企業の多くはリモートワークとオフィス勤務を組み合わせた「ハイブリッドワーク」を一定程度維持すると予想されており、欧米企業の70%がコロナ収束後も一部の従業員に週2日以上リモートで働くことを許可するとしている。導入企業にとっても従業員定着率の上昇などのメリットがあるとの認識である。同国では回答者55%がコロナ収束後でも在宅勤務を行いたいと回答する。同レポートではワクチンについての従業員の考えも尋ねており、同国の労働者47%、欧州の労働者54%がワクチンだけでは感染症の拡散を完全に食い止めることはできないと考える。同社のヴァイスプレジデント兼グループ調査ディレクターであるキース・ジョンストン氏は企業が「従業員のニーズに合った労働環境を整える」ことで、従業員に「自分たちの意見が尊重されており、仕事を効果的に進めるための自律性とツールを与えられている」と感じさせると強調している。



ハイブリッドワークライフ協会


2020年9月から兵庫県の淡路島に本社機能の移転を開始した株式会社パソナグループは、「ハイブリッドワーク」や「ハイブリッドライフ」の推進により、人々のライフスタイルに合わせた多様な働き方を創造する共に、地域への移住・定着や関係人口の創出等による地方創生を目指す「ハイブリッドワークライフ協会」を2020年10月に設立している。
同協会によると、「ハイブリッドワーク」や「ハイブリッドライフ」とは、場所と時間、職種にとらわれない、それらの制約を超えた新しい働き方・生き方のことである。同協会は時間や場所等にとらわれない新しい働き方による地方創生を目指す地方自治体や企業等、全国31の賛同団体(2020年10月22日時点)と協働し、ハイブリッドな働き方・生き方の促進に向けた情報発信を行い、全国の遊休施設等を活用した拠点の整備、地方での雇用創出等を目指している。



新しい世代のために「ワーケーション」


観光地などに滞在しながら仕事する「ワーケーション」を新規事業の開発に生かそうとする企業が増え始めている。
インターネット接続大手のビッグローブ株式会社は5月、大分県別府市の温泉地に「ワーケーションスペース」を開設した。
6畳一間の住居兼用で源泉掛け流しの浴場も併設し、若手社員を3カ月ずつ滞在させる。費用は全て会社負担である。同社はコロナ禍で都会オフィス中心の働き方を見直すなか、「新しい世代のための新しい働き方」としてワーケーションを位置づけており、今後も他の温泉地や避暑地でも同様の取り組みができないか検討する。システム開発のNECソリューションイノベータ株式会社は、2016年に和歌山県白浜町にサテライトオフィスを開業している。これまで新規事業の担当者が常駐するほか、グループ社員の数日間の短期合宿を受け入れるなどワーケーションの実証拠点としても運用しており、自治体と連携協定を結び地元企業のIT(情報技術)導入も支援してきた。2021年10月からはオフィスを地元企業や住民に開放しオープンイノベーションの場としても機能させる。



需要が広がる「セットアップオフィス」


予め内装が済んだ状態で即入居できる「セットアップオフィス」と呼ばれる賃貸オフィスが注目されている。
コロナ禍で在宅勤務など働き方が大きく変わる中、オフィスの在り方を見直す企業も増えており、スタートアップ企業だけでなく大企業からも需要が広がっているという。こうした状況を受けて、東京建物株式会社やサンフロンティア不動産株式会社、日鉄興和不動産株式会社など、セットアップオフィスのニーズに対応する大手不動産会社も少なくない。ケネディクス・オフィス投資法人は5月に都内で家具などが備わったオフィスを完成させているが、入居企業は3カ月前に解約予告すれば退去できる。
通常のオフィスでは6カ月前の解約が大半となっており、退去しやすいように工夫する。サンフロンティア不動産は契約期間を月単位や曜日貸しができるようにして、さらに利用しやすくしている。同社ではセットアップオフィスを3年後に1,000室以上と現在に比べ7割増やす計画でもある。ニッセイ基礎研究所准主任研究員の佐久間誠氏は「中長期的にはセットアップのような柔軟なオフィスは増える」と推測している。


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ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金


2020年3月13日以降、官報でも「新型インフルエンザ等対策特別措置法附則第一条の二第一項の政令で定める日を定める政令」による新型コロナウイルス感染症対策が随時更新されており、行政機関は補助金や協力金等の施策を講じている。
そうした中、経済産業省は各種補助金で「低感染リスク型ビジネス枠」を新たに設けて企業を支援する。ものづくり補助金では、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援。
新型コロナウイルス感染症の影響を受け、社会経済の変化に対応したビジネスモデルへの転換に向けた前向きな投資を行う事業者に対して、通常枠とは別に低感染リスク型ビジネス枠を設けて優先的に支援している。
同枠の補助対象者は中小企業事業者・小規模企業者・小規模事業者。補助金額は100万~1,000万円。補助率は3分の2。
補助対象経費は機械装置・システム構築費・技術導入費・専門家経費・運搬費・クラウドサービス利用費・原材料費・外注費・知的財産権等関連経費・広告宣伝費・販売促進費。



通常枠と低感染リスク型ビジネス枠

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出典:経済産業省「生産性向上を目指す皆様へ 『ものづくり・商業・サービス補助金』がさらに使いやすくなりました」


小規模事業持続化補助金


小規模事業持続化補助金の低感染リスク型ビジネス枠は小規模事業者が経営計画及び補助事業計画を作成して取り組み、感染拡大防止のための対人接触機会の減少と事業継続を両立させる取り組みを支援する補助金である。
補助対象者は小規模事業者。補助金額は100万円。補助率は4分の3。補助対象経費は機械装置等費・広報費・展示会等出展費(オンラインによる展示会等に限る)・開発費・資料購入費・雑役務費・借料・専門家謝金・設備処分費・委託費・外注費・感染防止対策費。



IT導入補助金


ITツールの導入に活用できるIT導入補助金は、2020年度第3次補正からは通常枠(A・B類型)に加え、低感染リスク型ビジネス枠(特別枠:C・D類型)を追加している。
補助対象者は中小企業・小規模事業者。補助対象事業の特別枠のC・D類型では非対面化ツールの導入が必須となっており、D類型に関してはクラウド対応が条件である。補助金額は30万~450万円(テレワーク対応類型は30万~150万円)。補助率は3分の2。補助対象経費はソフトウェア購入費用及び導入するソフトウェアの利用に必要不可欠なハードウェアのレンタル費用と関連するオプション・役務の費用。



テレワーク・マスター企業支援奨励金


東京都の公益財団法人東京しごと財団は新型コロナウイルス感染症の拡大防止と経済活動の両立に向け、人流の抑制に極めて有効なテレワークの定着を図るため、中小企業に対し最大80万円の奨励金を支給する「テレワーク・マスター企業支援奨励金」の運用を開始している。
テレワークのさらなる促進を図るため、「3カ月コース」に加え、6月には新たに「1カ月コース」と「2カ月コース」を創設した。対象事業者はテレワーク定着トライアル期間中(2021年5月12日~10月31日)に「週3日・社員の7割以上」がテレワークを実施した企業。対象経費は通信費・機器リース料・ソフト利用料・テレワーク手当・サテライトオフィス利用料など、社員がテレワークを実施するために企業が負担・支出した経費。奨励金申請の受付期間は2021年9月1日(水)~同12月10日(水)。



奨励金の支給額

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出典:公益財団法人東京しごと財団「テレワーク・マスター企業支援奨励金 募集事項」


より一層の安心・安全のオフィスづくりに向け


オフィス勤務を中心としながらも在宅勤務などのリモートワークは今後定着していくとされる。いわゆるハイブリッドワークの浸透は、社内のコラボレーションやセキュリティなどの面で課題も指摘されている。そうだとしても、コロナ禍でその進展が加速された官製の働き方改革とともに、さらに新たな働き方の追求が始まった。
弊社が積極的に推奨する「オフィス環境・IT・インフラ・制度」の見直しによる安心・安全のオフィスづくりもより一層求められている。




【参考文献】

  • 経済産業省「生産性向上を目指す皆様へ『ものづくり・商業・サービス補助金』がさらに使いやすくなりました」
  • 日本経済新聞社「Z世代、温泉地で変革生むビッグローブが専用オフィス働き方innovationどこにいても働けますか(3)」
  • 日本経済新聞「内装工事済みオフィス続々東京建物など、入退去容易コロナ禍で大企業も注目」
  • 官報「2020年3月13日付」
  • 「令和元年度補正・令和二年度補正ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公募要領〔一般型(新特別枠含む)・グローバル展開型〕」
  • 小規模事業者持続化補助金〈低感染リスク型ビジネス枠〉補助金事務局「令和2年度第3次補正予算小規模事業者持続化補助金〈低感染リスク型ビジネス枠〉公募要領」
  • サービス等生産性向上IT導入支援事業事務局「IT導入補助金2021(令和2年度第三次補正サービス等生産性向上IT導入支援事業)公募要領低感染リスク型ビジネス枠(特別枠:C・D類型)」
  • 公益財団法人東京しごと財団「テレワーク・マスター企業支援奨励金募集事項」
  • ZDNet Japan「コロナ終息後、欧米企業の70%がハイブリッド勤務に―Forrester予想」
  • 株式会社パソナグループ「都市×地方 オフィス×在宅 仕事×音楽・スポーツなど多様な働き方を推進『ハイブリッドワークライフ協会』地方自治体や民間企業など31団体が参画し、10月26日発足」

 

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