2021/08/25再開発レポート
日本最大の都市である東京。その中心機能の役割を果たしているのが、「東京駅」である。同駅周辺に位置する大手町、丸の内、有楽町の「大丸有」エリアや常盤橋エリアでは現在、大規模な再開発が行われている。同駅周辺の再開発に関しては、弊社冊子『BMC』2021年2月号で日本橋エリア、2020年12月号で丸の内エリアや常盤橋エリアを取り上げているが、今回は八重洲周辺エリアを中心に紹介する。
東京の日本橋から京橋、銀座、新橋までの一帯は、江戸時代には「江戸前島」という半島であった。江戸前島の西側は当時「日比谷入江」と呼ばれ、現在の日比谷公園の辺りとなる。「江戸」の地名の由来は諸説あるが、江戸前島や日比谷入江からきているという説もあり、もともと江戸という呼び名は江戸前島、今の日本橋から新橋のエリアを指していたともされる。
現在、中央区の東京駅前八重洲、日本橋、京橋の「八日京」エリアでは、「国際都市の玄関口」を目指して大規模な再開発が至る所で着々と進んでいる。特に同エリアを象徴するビックプロジェクトとして、独立行政法人都市再生機構と京王電鉄バス株式会社は、昨年12月に八重洲3地区の再開発事業で、国内最大規模となる「(仮称)八重洲バスターミナル」の整備・運営に関する協定を結んだ。「八重洲二丁目北地区」の2022年8月竣工に合わせて一部開業し、2028年までの全体開業を目指す。
また、東京都は3月に京橋・八重洲から有楽町、日比谷、新橋、築地、汐留まで銀座を囲むように走る東京高速道路(KK線)の再生方針を発表し、KK線上部空間(全長2キロメートル)の歩行者ネットワーク化「Tokyo Sky Corridor」の実現に向けて取り組んでいる。
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東京ミッドタウン八重洲の完成イメージ | 着々と完成に近づく東京ミッドタウン八重洲の大型複合ビル |
八日京の再開発概念マップ |
進行中の再開発プロジェクト |
出典:住友不動産株式会社「シティハウス東京八重洲通り」 | ※注)③は2021年4月「東京ミッドタウン八重洲」、⑦は2019年4月「京橋彩区」に街区名称を変更 |
東京駅八重洲口前に面し、東京ミッドタウン八重洲に隣接する「八重洲二丁目中地区」では、八重洲二丁目中地区市街地再開発準備組合が、早ければ2022年3月までに組合設立認可を取得する見通しである。 事業協力者として三井不動産、鹿島建設株式会社、ヒューリック株式会社が参画し、再開発コンサルタントは株式会社日建設計が担当している。再開発施設の規模は約42万平方メートル。2023年3月までの権利変換計画認可を経て、2025年3月までの着工、2029年3月までの完成を想定する。 都市計画決定時点での規模は地下4階、地上46階建て、高さは約240メートルとなり、都市再生特別地区の認定を受けて整備を進める。事務所や店舗などのほか、上層階にはサービスアパートメント、低層部にインターナショナルスクールなども入る。地下部分は、八重洲地区で計画中の他の再開発事業と連携し、バスターミナルを整備する予定である。 |
八重洲二丁目中地区の完成イメージ |
鍛冶橋交差点からみた地区 / 八重洲ブックセンター本店 / 隣接する京橋エドグラン / 店舗が並ぶ京橋中央ひろば / 京橋駅と直結する大階段 |
国際興業グループに属していた八重洲富士屋ホテルの土地と建物は、2013年に住友不動産株式会社に売却されている。同ホテルは現在解体されており、その跡地を含めた一帯は「八重洲二丁目南地区」として、国から東京圏の国家戦略特別区域に認定されている。 住友不動産が主導する再開発計画が進み、観光バス発着所を設ける計画がある。同地区東側に隣接する2013年に竣工した京橋駅直結の複合オフィスビル「東京スクエアガーデン」は、2016年竣工の「京橋エドグラン」と並んで街のランドマーク的な存在である。東京スクエアガーデンを運営する東京建物株式会社は、SDGs(持続可能な開発目標)活動の情報発信拠点や、スタートアップ企業と共同で廃プラスチックのリサイクル実証実験を実施し、八重洲、日本橋、京橋エリアにおいてイノベーションを生み出す街づくりを目指している。 | |
八重洲富士屋ホテル跡地 |
東京ミッドタウン八重洲と八重洲通りを挟んで隣接するのが「東京駅前八重洲一丁目東地区」である。 同東地区はA地区とB地区に分かれており、メイン事業となるB地区が進んでいる。東京建物と都市再生機構が参加組合員として参画するB地区市街地再開発組合は、同地区に事務所や店舗、バスターミナル、カンファレンス、医療施設、駐車場などで構成する地下4階、地上51階建て、高さ約250メートルの超高層ビルを建設する。2021年10月に着工し、2025年4月に竣工する予定である。 A地区には事務所や店舗からなる地下3階、地上11階建て、高さ約45メートルのビルを建設する計画である。 |
東京駅前八重洲一丁目東B地区の完成イメージ |
日本橋と銀座に連なる中央通り沿いに位置する「京橋一丁目東地区」の再開発を共同推進する株式会社永坂産業と戸田建設株式会社は、2019年4月に「京橋彩区」へと街区名称を変更している。 同地区は、旧株式会社ブリヂストン本社ビルや戸田建設の本社ビルのある約1.6ヘクタールを対象に、「ミュージアムタワー京橋」と「(仮称)新TODAビル」の2期にわたる事業が進んでいる。第Ⅰ期として、2019年7月に地下2階、地上23階、約150メートルの複合オフィスビル「ミュージアムタワー京橋」が竣工しており、2020年1月にはその低層部に芸術・文化の拠点として、「アーティゾン美術館(旧ブリヂストン美術館)」がオープンしている。第Ⅱ期としては、「(仮称)新TODAビル」が2021年8月に着工し、地下3階、地上28階建て、高さ約173メートルの超高層ビルが2024年4月に竣工予定である。同ビルの竣工をもって、京橋彩区のグランドオープンとなる。 |
京橋彩区の完成イメージ |
京橋一丁目の京橋彩区 / 八重洲通り側からみた地区 / スタイリッシュな仮囲い / アーティゾン美術館 / デジタルサイネージを導入 |
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