2021/07/28再開発レポート

品川オフィス~品川・高輪・田町の再開発
歴史と未来が交錯するゲートウェイ

街開きに向け「品川開発プロジェクト(第Ⅰ期)」始動


世界中から先進的な企業と人材が集い、多様な交流から新たなビジネス・文化が生まれる「グローバルゲートウェイ品川」のコンセプトのもと、品川周辺地域で大規模な再開発事業が活発化する。品川駅、高輪ゲートウェイ駅、田町駅と南北に連なる東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)の約13ヘクタールにも及ぶ広大な車両基地跡では、新たな街づくりが着々と進んでいる。


トップ画像
出典:東京都「品川駅・田町駅周辺まちづくりガイドライン【概要版】2020」



高輪築堤の一部を現地保存


東京のJR山手線に半世紀ぶりの新駅として高輪ゲートウェイ駅が開業してから1年が経過した。
同駅周辺の再開発過程で昨年12月には、日本で初めて鉄道が開業した際に海上に線路を敷くために盛り土をして石垣で固め堤として造られた「高輪築堤(ちくてい)」が発見され、一般市民に一部が公開されたりしている。高輪築堤は1872年、日本初の鉄道が新橋~横浜間に開業した際、現在の田町駅付近から品川駅付近までの長さ約2.7キロメートルに築かれた。2019年の品川駅改良工事の際に石積みの一部が見つかり、2020年には同駅付近の車両基地跡からも発見された。確認された遺構は計約80メートルに及ぶ。
JR東日本はホテルやオフィスなどが入った4棟の超高層ビルを建設予定であったが、歴史的価値が高いとされる「第七橋梁」と呼ばれる部分を中心に、2・3街区にある遺構の一部を現地保存する。そのための費用は300億~400億円程度かかる見込みである。


高輪築堤の石垣

高輪築堤の石垣


未来の玄関口、品川駅北周辺地区の再開発


高輪ゲートウェイ駅前と品川駅北周辺地区の一帯では現在、開発用地6区画のうち、第Ⅰ期として1街区から4街区の約9.5ヘクタールに総延床面積約85万平方メートルの施設群を建設する「品川開発プロジェクト(第Ⅰ期)」が進められている。
JR東日本は第Ⅰ期で初弾となる3街区の建築を今年4月に着工。当初計画の昨年10月から半年遅れ、続く4街区の着工も5月の予定を6月に変更した。施工は大林組株式会社。また、1街区は株式会社フジタの施工で6月に、22街区は鹿島建設株式会社で10月にそれぞれ計画通り着工する。
3・4街区はオフィスフロアを中心に商業施設やホテルなどが設けられ、1・2街区には共同住宅や多目的施設などが整備される。全体の完了は2025年3月末の予定である。


品川開発プロジェクト(第Ⅰ期)概要

出典1:Impress Watch「高輪ゲートウェイ周辺開発が本格始動。2024年のまちびらきへ都市計画決定」
出典2:東日本旅客鉄道株式会社「高輪ゲートウェイ駅の概要について」


歴史をつなぐ街、泉岳寺駅地区の再開発


高輪ゲートウェイ駅から国道15号の方面に7分歩くと、同駅に最も近い都営地下鉄・京浜急行電鉄の泉岳寺駅に到着する。
同駅は赤穂義士と浅野長矩が葬られている泉岳寺があることで知られ、江戸の玄関口でもあった高輪大木戸跡が残されている。品川駅北周辺の車両基地跡地開発の3街区と接する同駅周辺では、東京都が施工する「泉岳寺駅地区」の再開発が進められている。4月には特定建築予定者として、東急不動産株式会社・京浜急行電鉄株式会社のグループが決まった。現在は解体工事が進行しており、施設本体工事は2023年4月に着工し、2028年3月完了予定である。
羽田空港への乗り換えなしでのアクセスを始めとする交通結節点の役割を担う同地区には、駅舎、住宅、オフィス、商業施設などで構成する再開発ビルが建設される。再開発ビルはJR東日本が計画している3街区とデッキで接続する。このため施設のエントランスは接続部分に当たる3階に置かれ、地下で接続する泉岳寺駅には出入口や地下駅前広場が新設される。開発規模は地下3階地上30階建て延床面積11万644平方メートル。高さは145メートル。地上1階と地下1~3階が地下鉄駅となる。地下1~地上2階には商業施設が入り、3~11階に事務所、13~27階には共同住宅が整備される。


解体工事が進む泉岳寺駅地区
解体工事が進む泉岳寺駅地区
泉岳寺境内にある赤穂義士墓所
泉岳寺境内にある赤穂義士墓所

都営地下鉄泉岳寺駅
都営地下鉄泉岳寺駅
国道15号沿いにある高輪大木戸跡
国道15号沿いにある高輪大木戸跡


緑地化を推進、芝浦水再生センター地区の再開発


泉岳寺駅からは東海道新幹線などの在来線が上に走る高輪橋架道橋下区道を抜けると、高輪ゲートウェイ駅の向かい側に広がる芝浦水再生センターや芝浦中央公園に辿り着くことができる。
同区道は老朽化に加え、車や人がやっと通れるような狭いトンネルで、泉岳寺や高輪から芝浦方面に行くには遠回りして品川駅か田町駅の周辺にまでいかないと反対側に渡れない状況である。しかし、今回の再開発により同区道は第二東西連絡道路として再整備される。道路の完成は2031年予定。また、高輪ゲートウェイ駅からは歩行者専用道路の同駅東側通路が2024年開通予定で、芝浦水再生センター側まで歩いていけるようになる。1931年にできた下水処理場である同センターと芝浦中央公園は一体化し、東京ドームの3分の2ほどの緑地帯が誕生する。
東京都はオフィスや商業施設を誘致し、東京湾側へのアクセスにも便利な道路や歩行者ネットワークを整備する予定である。


芝浦中央公園と品川シーズンテラス
芝浦中央公園と品川シーズンテラス
拡張工事が行われている高輪橋架道橋下区道
拡張工事が行われている高輪橋架道橋下区道

下水処理施設の芝浦水再生センター
下水処理施設の芝浦水再生センター


リニアの始発駅、品川駅周辺地区の再開発


東海道新幹線が発着し、リニア中央新幹線の始発駅にもなる品川駅周辺でも再開発が活発化する。
高輪ゲートウェイ駅と連なる同駅北口周辺地区はもちろん、西口地区、街区地区、東口地区などでは整備事業が進んでいる。特に西口地区では京急電鉄が、JR・京急品川駅高輪口駅前の3月末に閉館したシナガワグースの敷地を活用して延床面積約20万平方メートルの新たな複合施設を開発し、事業協力者のトヨタ自動車株式会社とともに、今後10年以内をめどに完成させる。新施設はオフィスと商業、ホテルのほかコンベンションやホールなどのMICE(国際会議・展示会など)施設で構成され、オフィスの一部はトヨタが活用する。ホテルのオペレーターには国際水準のラグジュアリーホテルの誘致を進め、今後各機能の必要面積など詳細を検討し、品川駅前にふさわしい施設計画を固める。
近接地ではJR東日本による品川開発プロジェクトの2024年頃の街開きやリニア中央新幹線の2027年開業が予定されており、これらの時期と合わせての開業を目指している。


解体工事が進むシナガワグース
解体工事が進むシナガワグース
駅西口前のビル解体工事の様子
駅西口前のビル解体工事の様子

駅東口のリニア中央新幹線の工事現場
駅東口のリニア中央新幹線の工事現場


職住学遊を融合、田町駅周辺地区の再開発


田町駅は山手線、京浜東北線の2路線が乗り入れ、都営浅草線、都営三田線三田駅も利用可能で都内でも抜群の立地を誇る。
同駅周辺では東口北地区、東口地区、三田3・4丁目地区で大規模な再開発が現在進んでいる。東口街区の一帯は「msb Tamachi(ムスブ田町)」の名称で呼ばれ、2018年にブルマン東京田町、田町ステーションタワーN、2020年に田町ステーションタワーSが誕生し、街は大いに賑わいを見せる。近くには区役所や病院、公園があり、小学校も建設中である。
東口地区ではもう一つの大きなプロジェクトとして、東京工業大学が同地区に所有する土地に約75年間の定期借地権を設定し、NTT都市開発株式会社・鹿島建設・JR東日本・東急不動産のグループが延床面積25万平方メートルの複合施設を整備・運営する。国立大学法人が土地を貸し付ける再開発事業としては、全国最大規模である。現在敷地内にある同大学附属科学技術高等学校を目黒区の大岡山キャンパスへ移転し、空いた土地に大学施設や産学連携施設のほか、オフィス、ホテル、商業施設からなる複合施設Aと複合施設Bが誕生する。
複合施設Aは地下2階地上36階建て延床面積約24万7,700平方メートル、高さ約178メートル。また、複合施設Bは7階建て延床面積約2,500平方メートルの規模。オフィスフロアは近隣エリアで最大規模となる見通しである。2026年3月に附属高校を移転、2030年6月に大学施設を引き渡し、さらに2032年4月には建設工事全体が完了して、グランドオープンを迎える予定となっている。


建設予定地の東京工業大学附属科学技術高等学校
建設予定地の東京工業大学附属科学技術高等学校
三田3・4丁目地区の再開発工事現場
三田3・4丁目地区の再開発工事現場


江戸の玄関口からグローバルゲートウェイへ邁進


高輪ゲートウェイ駅から泉岳寺方面に向かう途中の国道15号沿いに高輪大木戸の石垣が残っている。大木戸とは、江戸時代に街道上の江戸内外の境界に設置された関所のことであり、高輪大木戸は多くの旅人や宿泊客が行き交う江戸の南の玄関口として賑わいをみせた。駅名にゲートウェイの名称が付けられた所以でもある。令和時代の高輪大木戸はグローバルゲートウェイを目指して邁進する。これからの日本の成長を牽引する国際交流拠点としての役割に期待したい。



【参考文献】
・東京都「品川駅・田町駅周辺まちづくりガイドライン【概要版】2020」
・朝日新聞「明治の鉄道遺構『高輪築堤』どうする 市民向け一部公開」
・建設通信新聞「東急不・京急グループに決定/提案整備費は364億/泉岳寺駅地区第二再開発特定建築者」
・建通新聞「JR東日本 品川開発PJ4月から大林組ら」
・建通新聞「京急とトヨタ 品川駅前に20万㎡の新施設」
・HowMaマガジン「山手線の新駅と品川周辺の大規模開発⑤~新駅の向かいの広大な緑地帯(芝浦水再生センター地区)~」
・Impress Watch「高輪ゲートウェイ周辺開発が本格始動。2024年のまちびらきへ都市計画決定」
・健美家「港区・JR山手線『田町駅』で2032年に東工大キャンパス建て替え&超高層複合ビル誕生!」
・東日本旅客鉄道株式会社「高輪ゲートウェイ駅の概要について」



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