【オフィスエリア:中野】多核回遊型都市「中野」 東京の新たなエネルギーを生み出す活動拠点 – 最新記事一覧

2021/06/29再開発レポート

中野オフィス~多核回遊型都市「中野」
東京の新たなエネルギーを生み出す活動拠点

働くこと、楽しむこと、暮らすことの調和ある街づくり

近年、都心部から交通の利便性も高い中野駅周辺エリアが注目されている。駅の北西部一帯にあった警察大学校や警視庁警察学校が府中市に移転し、その広大な跡地に防災公園を中心にオフィスビルや大学、病院などの施設が囲む「中野四季の都市(まち)」が2012年に街開きして以降、約110ヘクタールの大規模なエリアで再開発事業が活発化している。今年3月初旬、移り変わる「中野」を訪れ、エネルギーを体感した。


中野トップ画像


サブカルチャーの聖地「中野ブロードウェイ商店街」


日本の玄関口である東京駅から特別快速電車で20分、都内最大の繁華街と言われる歌舞伎町の最寄り駅である新宿駅からは4分で到着する街「中野」。
都心部から近く通勤や通学に便利ということから、今年1月に都内在住者を対象にした口コミサイト「東京23区住みやすさランキング」では、住みたい街で「中目黒」に次いで2位を獲得しており、上位常連のエリアでもある。中野駅北口を出てすぐの中野サンモール商店街をまっすぐ進んでいったところには街のシンボルの1つの「中野ブロードウェイ商店街」がある。1966年に東洋一のショッピングセンターとして開業し、1980年頃からはサブカルチャー関連の店舗が増え、秋葉原や池袋とともにオタク文化の発信拠点として知られている。
古本や中古の漫画、ゲーム、フィギュア、アニメのセル画、コスプレ衣装などに加え、昔の看板やレトロなミニカー、時計など幅広いジャンルの店舗が集まり、ここでしか入手できないものも存在することから「サブカルチャーの聖地」とも呼ばれ、毎年海外からも多くの観光客が訪れている。

中野ブロードウェイ

中野ブロードウェイ商店街


次世代に向けた大規模再開発


中野区では、中野駅を中心に東西南北約110ヘクタールを範囲とした駅周辺エリアを多様な都市機能が集約された「東京の新たなエネルギーを生み出す活動拠点」としていくための街づくりに取り組んでいる。
再開発地区は大きく4つの地区に分かれている。駅北西エリアの「中野4丁目地区」は警察大学校等跡地を開発し、オフィスビルや大学、病院、住宅、公園など多様な都市機能が集積する中野四季の都市や中野サンプラザ、中野区役所などを再整備しており、駅北東エリアの「中野5丁目地区」は現北口駅前広場から中野サンモール商店街や中野ブロードウェイ商店街などが立ち並び、将来的には防災性や安全性を重視した街づくりが行われる計画である。また、駅南東エリアの「中野2丁目地区」は南口駅前広場とそれに面した一帯の再開発が進行しており、駅南西エリアの「中野3丁目地区」は駅西側南北通路や橋上駅舎の建設に合わせて西口広場一帯が再整備される。現在各地区の特色を活かした街づくりが活発に進められているところである。

中野駅周辺まちづくり概要図

中野駅周辺まちづくり概要図
(出典:中野区ホームページ「中野駅西側南北通路・橋上駅舎等事業パンフレット」)


超高層ビルが続々建設ラッシュ


駅北西エリアの「中野4丁目地区」は、2001年の警察大学校や警視庁警察学校の府中市移転を機に駅周辺エリアの開発が本格的に始まっている。
警察学校跡地の再開発は、2012年3月に区画道路が開通して以降、オフィスビルや大学、病院など先端的な都市機能と防災性を兼ね備えた豊かな緑とオープンスペースからなる新たな活力を生み出す都市空間へと生まれ変わっている。中央部に区内でも有数の大きさを誇る防災公園である「中野四季の森公園」を含め、公園を囲むように東京建物株式会社が運営管理するオフィスビル「中野セントラルパーク」や大学、子どもの遊び場などが入った中野四季の都市が2012年に街開きしている。 これらの影響で働く人や学生などが年々増加し、駅周辺を訪れる人は開発前に比べて約2万人増加している。それまでオタクの街といったイメージもあった中野は、住宅街や住みたい街として認識されるようになってきてもいる。
また、街を変えたともいわれる中野四季の都市と道を挟んで向かい側、JR中央線の線路に沿って細長い土地を利用した「囲町東地区」で再開発が進んでいる。同地区は2020年9月に市街地再開発組合設立について東京都の認可を受けた。敷地は約2ヘクタールもあり、ここに約720戸の住宅や商業施設、オフィスが建設される予定である。建物は駅に近いところに低層に商業施設、上階にオフィス、住宅が入る棟が建ち、その奥に広場を挟んでもう1棟の住宅という構成である。駅に近いほうの住宅が地上24階建て、奥が地上20階建ての予定で、高さはそれぞれ約100メートル、約90メートル。事業者の三井不動産レジデンシャル株式会社は今年11月から着工し、2025年3月竣工を予定している。

線路の反対側からの外観完成イメージ

線路の反対側からの外観完成イメージ
(出典:三井不動産レジデンシャル株式会社「『囲町東地区第一種市街地再開発事業』 市街地再開発組合設立認可のお知らせ~中野駅前約2.0ha、住宅・商業・オフィスのミクストユースプロジェクト~」)


新たなシンボル「NAKANOサンプラザシティ」誕生へ


1973年開館以降、多くの区民に親しまれてきた複合施設である中野サンプラザを含む中野駅北口の再開発事業者には野村不動産株式会社などのグループが選定されている。
再開発計画では、サンプラザを解体して新たに建設する施設の延べ床面積は約25万7,000平方メートルで、総事業費は約1,810億円。区は再開発エリアを「NAKANOサンプラザシティ」と名付け、オフィスや住居、商業施設が入る高さ約235メートルの「シンボルタワー」が建設されるほか、多目的ホールやホテルといった低層の建物などで構成される。ホール部分の名称は「NAKANOサンプラザ」とする予定で、現在約2,200人規模となっているホールは、立ち見を含めて最大7,000人規模まで収容できるようになる見通しである。現在のサンプラザは2024年頃から解体を始め、新施設は2028年度末の完成を目指している。
また、サンプラザに隣接する中野区役所は区立体育館跡地に新たに建設され、2021年7月着工、2024年2月竣工を予定しており、地上11階建て、高さ約50メートルの施設が建設される。さらに、新区役所の西側隣接エリアの「中野4丁目西地区」は、2022年度から解体工事を着工する計画で、2026年度の供用開始を目標にしている。開発計画では約1,000戸近い住宅や店舗、オフィス、子育て支援施設などが入る地上42階建て、高さ165メートルのタワーが建設される予定である。

NAKANOサンプラザとシンボルタワーの外観完成イメージ

NAKANOサンプラザとシンボルタワーの外観完成イメージ
(出典:中野区ホームページ「中野駅新北口駅前エリア拠点施設整備に係る民間事業者の募集について」)


オフィス棟と住宅棟の高層ツインタワーを建設


駅南東エリアの「中野2丁目地区」の開発計画は、市街地再開発事業と土地区画整理事業の一体的施行という手法を用いて、単に建物を建てるだけではなく、駅前広場の拡張整備、駅周辺の回遊性を高める交通動線の整備などを行い、駅南口一帯を総合的に変える事業となっている。
開発が進められるのは西側が1951年に完成した南口駅前広場、北側が千光前通りに接した約1ヘクタールのエリア。駅前広場に面して商業、業務の複合建物、その背後には1952年に入居が始まった東京都住宅供給公社の集合住宅団地「中野住宅」が建っていた。戦後の混乱期を経て建設された駅前広場と団地は、戦後に生きる人たちの新しい生活を支えてきたといえる。そのような中野住宅は2019年5月、14階建て、203戸の公社住宅「コーシャハイム中野フロント」として新たな生活空間に生まれ変わっている。
また、駅前広場に面したエリアは、住友不動産株式会社が2020年3月から高層ツインタワーの建設を始めている。建物は北側に地上20階建て、高さ約120メートルのオフィス棟、南側が地上37階建て、高さ約150メートルの住宅棟で両棟共に低層部には店舗等が配され、駅前の賑わいに資するものと期待されている。ツインタワーは2024年2月竣工、2025年度には南口駅前広場工事完了を予定しており、ここ数年で駅周辺の景観は大きく変わりそうである。

高層ツインタワーの外観完成イメージ

高層ツインタワーの外観完成イメージ
(出典:住友不動産株式会社「中野駅南口駅前で賑わいの創出 『中野二丁目地区第一種市街地再開発事業』工事着手 オフィス棟と住宅棟の高層ツインタワー」)


橋上駅舎完成で南北通路の往来と回遊性を向上


駅の混雑解消などを目的に、2020年3月から線路を挟んで北側の「中野4丁目地区」にある新北口駅前広場エリアと南側の「中野3丁目地区」にある西口広場エリアを結ぶ駅西側南北通路、橋上駅舎、駅ビルからなる道路一体建物の整備が本格的に進められている。
中野駅は90年以上の歴史を誇るとともに、現在JR中央線・総武線、東京メトロ東西線の始発駅となっており、交通アクセスに優れた区外への玄関口を形成している。南北の駅前広場と一体的に整備することで、公共交通機関の利便性や歩行者の東西・南北方向の回遊性を高めた多核回遊型都市の新たな玄関口として街の活性化につながることが期待されている。
南北通路と橋上駅舎は2026年度頃の開業を目指しており、橋上駅舎の商業施設などは2027年度竣工を予定している。西口広場エリアには首都圏を中心にファッションビルなどを展開する株式会社丸井グループが創業の地に「中野マルイ店」を構え、ヨーロッパの雰囲気を感じられる「中野レンガ坂」などの商業施設や商店街が立ち並んでおり、広場近くの桃丘小学校跡地では施設開発が進んでいる。

西口広場側から見た橋上駅舎の外観完成イメージ

西口広場側から見た橋上駅舎の外観完成イメージ
(出典:中野区ホームページ「中野駅西側南北通路・橋上駅舎等事業について」)


人々のエネルギーが交差する街


今後10年間で中野駅周辺は大きく様変わりするであろう。
中野区の再開発計画では、同駅における1日乗降者数を2019年時点の約24万人から2031年には約33万人に増やす計画を立てており、再開発の最終目標として「働くこと、楽しむこと、暮らすことの調和ある発展」「中野らしい、にぎわい・文化の発信」を掲げ、街づくりに取り組んでいる。
駅周辺の賑わいを創出する新たな再開発。今以上に人々のエネルギーが交差する街に発展していくに違いない。



【参考文献】
・日本経済新聞「中野サンプラザ再開発、事業者に野村不動産」
・中野区ホームページ「中野駅周辺まちづくり」
・中野区ホームページ「中野駅西側南北通路・橋上駅舎等事業パンフレット」
・中野区ホームページ「中野駅新北口駅前エリア拠点施設整備に係る民間事業者の募集について」
・中野区ホームページ「中野駅西側南北通路・橋上駅舎等事業について」
・中野区公式観光サイト まるっと中野「中野区の魅力」
・健美家株式会社「中野駅前にタワー続々、北口、囲町にまず2棟。複数の大規模再開発で大変貌」
・健美家株式会社「中野駅南口にツインタワー。中野サンプラザの建替えもそろそろ視野に」
・住友不動産株式会社「中野駅南口駅前で賑わいの創出 『中野二丁目地区第一種市街地再開発事業』工事着手 オフィス棟と住宅棟の高層ツインタワー」
・三井不動産レジデンシャル株式会社「『囲町東地区第一種市街地再開発事業』 市街地再開発組合設立認可のお知らせ~中野駅前約2.0ha、住宅・商業・オフィスのミクストユースプロジェクト~」



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