【オフィスエリア:池袋】動き出す池袋駅周辺再開発 東西に人中心の駅前広場空間を整備 – 最新記事一覧

2022/08/29再開発レポート

動き出す池袋駅周辺再開発
東西に人中心の駅前広場空間を整備


東京都内では、新宿や渋谷に比べ駅周辺のリニューアルが遅れていた池袋であったが、2022年に入り地域基盤整備に合わせたJR池袋駅東西での再開発に向けた官民による動きが活発化している。駅の線路を東西にまたぐ歩行者デッキや歩行者空間が構想され、「ウォーカブルな(歩きやすい)」まちづくりが進んでいる。



「歩きやすい」まちづくりへ向け本格始動
「駅袋」からの脱却を図る


東京都豊島区は2022年1月、JR池袋駅の線路上空を東西に結ぶ1つの歩道橋と合わせて整備する駅前広場の完成イメージ図を公表した。歩行者の回遊性を飛躍的にアップさせ、駅ビルばかりに人が集まり「駅袋」と揶揄される街のイメージの一新を図る。区制100周年を迎える2032年までの一部供用を目指す。
現在パルコのある東口と東武百貨店のある西口方面をつなぐ「北デッキ」と、西武池袋本店がある東口からホテルメトロポリタンや東京芸術劇場が立つ西口方面へ抜ける「南デッキ」の2つの歩道橋が計画されている。東口では豊島区役所に向かう「グリーン大通り」の駅前部分を歩行者広場とする。高層ビル3棟を建設する再開発計画が進む西口では現在、池袋西口公園周辺にあるバスターミナルとタクシー乗り場を集約した交通広場をつくり、バスターミナルの跡地などに歩行者広場を整備する。
同区では、線路をまたいで歩道橋や広場が街の東西をつなぐ形態を「ダンベル構造」と表現しており、池袋駅の東口と西口をつなぐ「ウォーカブルな(歩きやすい)」まちづくりに向け本格的に動き出している。



駅前広場をリニューアル


池袋は鉄道4社・8路線が乗り入れ、乗降客数が1日約260万人の巨大ターミナルであり、再開発により、その駅前の風景はガラリと変わる見通しである。
豊島区が打ち出しているのは、東口からさらに東方向に真っ直ぐに伸びるグリーン大通りの駅寄り区間の歩行者空間化である。東口を南北に貫く明治通りも、グリーン大通りとT字型に交わる区間が併せて歩行者空間化されるため、駅前で南北に二分され、それぞれの端部に交通広場が新しく整備される。駅前の通過交通をほかに誘導し、駅前に大きな広場が生まれることになる。
グリーン大通りの歩行者空間化の狙いは、「駅袋」からの脱却である。池袋駅はかねて乗降客数は多いものの多くは乗り換え客だった。しかも駅直結の形で、百貨店をはじめとする商業施設が立地する。買い物はそこで済んでしまうため、多くの人は駅の中にとどまり、まちなかにまで出てこない。それが、「池袋」をもじった「駅袋」という呼び名につながったとみられている。



豊島区と三菱地所が描く、池袋西口の未来図


豊島区は、「駅袋」からの脱却を図るため、ウォーカブルなまちづくりに取り組む。現在の駅周辺の再開発の進捗状況について、同区都市整備部再開発担当課長・池袋西口再生担当課長の大根原尉之氏は、「西口は準備組合で、東口はまちづくり協議会ということで、計画の進捗には差がありますが、西口を優先して再開発を進めているわけではありません。東も西も駅前を歩行者優先の空間にし、東西が一体となるまちづくりを進めています。現在、計画が進む池袋駅西口地区の再開発事業と連携し、駅袋からの脱却を実現するサンクンガーデンの整備や、分散された交通広場の再編、まちの東西を繋ぐ北デッキの整備により、人中心の空間に転換し、居心地が良く歩きたくなるまちの実現に向けて取り組んでいます」とご説明いただいた。
池袋西口地区の再開発では、準備組合に三菱地所株式会社が事業協力者として参画する。今後、同地区でどのような事業構想を描いているのかについて、同社再開発事業部主事の中川啓司氏と同副主事の越村大督氏は、「まだ、検討段階ではございますが、区域内に複数の高層ビルと交通広場の整備は実施する予定です。また、地下空間に関しても大規模な整備を検討しております。豊島区が目指す『ウォーカブルな街並み』を形成しつつ、新たな池袋のランドマークとなるような空間創出を目指しております」と語っていただいた。
現在、同準備組合は2022年度の都市計画決定を目標に事業を進めている。



池袋駅周辺のこれまで


明治初期の池袋は、「雑司ヶ谷道(ぞうしがやどう)」と呼ばれる南北に延びる細い道があるだけの寒村であった。池袋の開発は1885年に始まり、JR山手線の原形となる日本鉄道品川線が開通したのを受けて、1903年に信号所があった原野に池袋駅が開業している。
その後、1914年には池袋駅を起点として東上鉄道(後の東武東上線)、1915年には武蔵野鉄道(後の西武池袋線)が開業する。ただ、駅周辺は昭和初期まで閑散とした状況に変わりはなかった。
発展の転機となるのは1935年に開業した菊屋デパートであった。1940年に武蔵野鉄道が買収して、武蔵野デパートと改称する。さらに終戦間もない1949年、武蔵野鉄道が西武鉄道へ改称するのを機に「西武百貨店」に名前を変更し、現在もよく知られている西武百貨店の誕生である。池袋駅周辺にはその後も続々と百貨店がオープンし、急速に発展していく。
そして、高度経済成長の中、1978年には当時建物の高さが日本一となるサンシャイン60が竣工し、若者の街として大きく賑わうようになっていった。



池袋駅周辺の歴史年表



【参考文献】

  • 東京新聞「『駅袋』からの脱皮を目指す池袋 豊島区が駅の東西を結ぶ構想 32年一部供用へ歩道橋や広場を整備」
  • 未来コトハジメ「脱『駅袋』へ、歩行者優先のまちづくり」
  • Lnote(東急リバブル株式会社)「池袋駅周辺はどんな街?巨大ターミナル駅に近く、静かで暮らしやすい3つのおすすめエリアの街並みを歩く」
  • 豊島区

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