2021/10/01再開発レポート

日比谷オフィス~新時代の日比谷エリア
駅と公園が一体化した内幸町再開発

多様な人々が集い賑わう国際交流拠点に


東京都千代田区の有楽町一丁目と内幸町一丁目の2街区は日比谷エリアと呼ばれており、東京ミッドタウン日比谷をはじめ、東京宝塚劇場や日生劇場、帝国ホテルなどの施設のほか、NTT日比谷ビルやみずほ銀行内幸町本部ビル、東京電力本店ビルなどのオフィスビルが集まっていることで知られる。同エリアでは現在、隣接する日比谷公園の再整備と一体化した再開発計画が内幸町一丁目街区を中心に進められている。

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日本の近代化をリードした日比谷の歴史


明治維新以降、東京都千代田区の日比谷エリアは進んだ西欧文化を取り入れ、日本の近代化をリードしてきた街といえる。
明治期には諸外国の国賓をもてなす社交場「鹿鳴館」や、東洋随一の大ホテル「帝国ホテル」が竣工し、日本最古の洋風近代式公園として日比谷公園が整備されている。昭和期に入ると、関東大震災の復興のシンボルとなった日比谷公会堂が完成し、当時東京で唯一の音楽ホールとして「音楽の聖地」と呼ばれた。その後、東京宝塚劇場や日比谷映画劇場などが誕生し、「映画・演劇の街 日比谷」の幕が開かれた。戦後には演劇専用劇場であった芸術座やみゆき座、日比谷スカラ座といった映画館がオープンし、高度経済成長期には世界に冠たる劇場を作るという志のもと、当代最高の劇場空間と評された日生劇場が完成する。日比谷は日本のエンターテインメントの中心地として大きく発展した。また、戦前から華やかな日比谷のイメージにふさわしく象徴的な建物であった三信ビルディングをはじめ、戦後には東洋随一のオフィスビルといわれた日比谷三井ビルディング(旧三井銀行本店)が竣工した。さらに、日比谷電電ビル(現NTT日比谷ビル)や第一勧業銀行本店ビル(現みずほ銀行内幸町本部ビル)など、同エリアは日本の基幹産業の本社が集まるビジネスの一大拠点としても成長を遂げている。



エリアマネジメント区域の東京ミッドタウン日比谷


日比谷エリアの有楽町一丁目街区にある三信ビルディングと日比谷三井ビルディングの跡地には新たな商業施設である東京ミッドタウン日比谷が2018年3月にオープンし、同地を訪れる人々の憩いの場として親しまれている。
同エリアはビジネス拠点の大手町・丸の内・有楽町、官庁街の霞が関、開発が進む虎ノ門、多くの観光客を惹きつける商業拠点の銀座の4つのエリアに囲まれた立地を活かし、「日比谷の地歴が持つ、常に時代の先をゆく国際ビジネス・芸術文化が創り上げる“未来志向の新たな体験や価値の創造”」をコンセプトとした地域ぐるみの街づくりが進められている。
特に同街区では住民、事業主、地権者等による自主的な街づくりの取り組みであるエリアマネジメントが行われている。三井不動産株式会社は2015年3月に地元企業や町会等が参加する一般社団法人日比谷エリアマネジメントを設立した。同法人は再開発に先立ち、同年6月に千代田区より都市再生推進法人に指定され、現在では賑わいの中心となる日比谷ステップ広場でさまざまなイベントを開催するとともに、周辺施設と連携して同エリアの魅力である芸術文化やエンターテインメントを発信し続けている。


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東京ミッドタウン日比谷 / 日比谷ステップ広場 / 東宝のゴジラ像 / 日比谷アーケード


内幸町一丁目街区の再開発概要


同じく日比谷エリアの内幸町一丁目街区で計画が進む大規模再開発の都市計画素案である「内幸町一丁目北特定街区 内幸町一丁目北地区再開発等促進区を定める地区計画 都市計画(素案)の概要」が2021年6月に公表されている。概要によると、帝国ホテルの建て替えを始めとした迎賓機能などを更新する一方、隣接する日比谷公園や周辺の地下鉄千代田線・三田線の駅などと接続することで、歩行者が利用しやすい開かれた街をつくる計画である。同区には街に関するあらゆる情報を収集・整理する都市OS(基本ソフト)を実装し、データやデジタル技術などを活用したビジネス交流の拠点を設ける。開発計画は三井不動産やNTT都市開発株式会社、中央日本土地建物株式会社の3社が中心となって進めている。約6.5ヘクタールの敷地は3地区に分けられ、各地区に高さ約230メートルの超高層ビルを建設する。全体では4棟の施設を整備し、総延床面積は約110万平方メートルの大規模再開発が行われる。


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内幸町一丁目街区の特性
出典:日比谷地区(内幸町一丁目街区)まちづくり勉強会「内幸町一丁目街区まちづくりガイドライン(案)」


3地区に分けた開発計画


ここでは内幸町一丁目街区の3地区(北地区、中地区、南地区)について詳しく見ることにする。
北地区では帝国ホテルを中心に宿泊と国際迎賓機能を強化する方針である。第I期として現在の帝国ホテルタワーがある位置に、商業と業務機能をもった地下4階、地上46階建ての複合施設である「ノースタワー」が建設される。地下4階、地上29階建てのホテル新本館は第II期で整備する予定である。2031年度から既存施設の解体に入り、両施設は総延床面積約42万平方メートルを想定している。
中地区には迎賓機能に加えて、デジタル技術などに関連するビジネスやサービスを企画開発する環境を整える。スタートアップ企業やユーザー企業、そのほか多様な分野の企業が交流し、国内外に情報発信を行うオープンイノベーション環境を構築する。また、低層部に商業施設、高層部にオフィスや宿泊機能を配置した「セントラルタワー」を整備する。規模は地下6階、地上46階建て、延床面積約37万平方メートル。施設の東側2階レベルに大規模な広場を配置し、西側の道路上空にはデッキを設けて日比谷公園と接続する計画である。
南地区では現みずほ銀行内幸町本部ビルなどがあるエリアに「サウスタワー」を建設する。規模は地下5階、地上43階建て、延床面積約31万平方メートル。オフィス、商業、宿泊、ウェルネス促進施設などが置かれる。2022年度から、中と南の2地区で既存施設の解体が始まる。建築物工事は南地区で2028年度、中地区で2029年度に完了するが、設備の移設や残る建物の解体などで長期間を要するため、全体の工事完了は2037年度となる。北地区では2024年度に帝国ホテルタワーの解体に入り、I期とII期で段階的に施設を整備して2036年度に工事を完了する予定である。


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配置図 / イメージパース
出典:NTT都市再開発株式会社・中央日本土地建物株式会社・三井不動産株式会社「内幸町一丁目北地区再開発等促進区を定める地区計画の都市計画(素案)」

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帝国ホテル / NTT日比谷ビル / みずほ銀行内幸町本部ビル


東急不動産が参加予定者の「東五反田二丁目第3地区」


東京都は有楽町一丁目と内幸町一丁目の2街区に面する日比谷通りを挟んで隣接する日比谷公園の再整備を進めている。
都公園審議会が2021年3月に提出した「都立日比谷公園の再生整備計画」の答申をベースに整備事業が行われる。特に民間の資金やノウハウを活用して、「日比谷野音」の名で親しまれる日比谷公園大音楽堂の建て替えや日比谷公会堂の改修・増築、日比谷通りの南北2カ所に歩行者デッキの整備も計画されている。園内北西部に新設する広場「(仮称)HIROBAs」は地域団体と連携して運営管理され、公園の管理所機能などを複合的に集約した「(仮称)パークプラザ」を併設する。
また、同月に三井不動産は公園内でレストランを経営する日比谷松本楼と業務提携に向けた協定を締結した。同社は1903年の公園開設に合わせ創業した日比谷松本楼への出資などを通じ、整備計画が進む日比谷エリアの魅力をさらに高めるための連携を強化する。
都の計画では2021年度に園路や広場などの基本設計に入り、開園130周年を迎える2033年に再整備を完了する予定である。


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春の平日のイメージ鳥観図 出典:東京都公園審議会「都立日比谷公園再生整備計画について答申」 / 日比谷公会堂 / 大音楽堂 / 第二花壇


新たな開かれた社交場に


大規模な再開発計画が進む内幸町一丁目街区にある帝国ホテルと日比谷U-1ビルの境目には鹿鳴館跡の碑が静かに佇んでいる。鹿鳴館は1883年に明治政府が欧化政策の一環として薩摩藩装束屋敷跡に建設した洋館である。開館後は高官や貴族が外国の使臣や紳商をもてなす場として使用された。こうした華やかな明治初期の一時期は「鹿鳴館時代」とも呼ばれる。21世紀の日比谷エリアは多様な人々が多く訪れる街を目指し、オフィスや商業施設、劇場、映画館などの施設を活かした新たに開かれた国際的な社交場となる「日比谷時代」を迎えようとしている。




【参考文献】

  • 東京都公園審議会「都立日比谷公園再生整備計画について答申」
  • 日比谷地区(内幸町一丁目街区)まちづくり勉強会「内幸町一丁目街区まちづくりガイドライン(案)」
  • 建設通信新聞「データ連携基盤を実装/地下鉄2線と接続、アクセス強化/千代田区・内幸町一丁目開発」
  • 建設通信新聞「3地区総延べ110万平米帝国ホテルなど建替え内幸町一丁目街区開発計画」
  • 日刊建設工業新聞ブログ「【基本設計や民間連携手法検討】東京都、日比谷公園の再整備に着手」
  • 東京ミッドタウン日比谷ホームページ「日比谷の歴史」
  • 一般財団法人森記念財団「開発を通したエリアマネジメント事例:東京ミッドタウン日比谷エリア 」
  • NTT都市再開発株式会社・中央日本土地建物株式会社・三井不動産株式会社「内幸町一丁目北地区再開発等促進区を定める地区計画の都市計画(素案)」

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